かんげき日記

舞台や映画を見ます。劇団四季が多め。

フランケンシュタイン - 日生劇場

1月27日、マチネで『フランケンシュタイン』を見てきました。
まもなく3週間が経とうとしています…。


■キャスト

ビクター・フランケンシュタイン*ジャック:中川晃教/アンリ・デュプレ*怪物:小西遼生/ジュリア*カトリーヌ:音月桂/ルンゲ*イゴール:鈴木壮麻/ステファン*フェルナンド:相島一之/エレン*エヴァ濱田めぐみ/リトル・ビクター:難波拓臣/リトル・ジュリア:寺田光
(*は一人二役)

【アンサンブル】
朝隈濯朗/新井俊一/後藤晋彦/佐々木崇/当銀大輔/遠山裕介/原慎一郎/丸山泰右/安福毅/彩橋みゆ/江見ひかる/可知寛子/木村晶子/栗山絵美/谷口あかり/原宏美/福田えり/山田裕美子





前回のブログで書いたように、今回はアラジンのチケットが取れたので東京に行くことにしました。
せっかくなのでライオンキングも見ることにしました。
でも、LCCで比較的安いながらも飛行機を使って、舞台公演の溢れた東京に3日間も行くのに、劇団四季2本だけしか見ずに帰ってくるの?と、貧乏性な私が半ば強迫観念に襲われながら探し出したのが、今回の『フランケンシュタイン』です。


まず目についたのは豪華なキャストでした。
加藤和樹柿澤勇人濱田めぐみ。鈴木壮麻。あらすてき。

公式HPにたどり着いて、公開されていた動画がこちら。

ミュージカル『フランケンシュタイン』OFFICIAL TRAILER - YouTube


「誰が出るか」しか、わからない!


作風を知るために脚本・演出の「ワン・ヨンボム」氏の経歴を知りたいのに、HPにも載ってない…。
よくよく調べたら、私の行ける回は加藤和樹でも柿澤さんでもない…。
すごい人らしいけど、中川晃教さん、小西遼生さんってどんな人だろう…。
ほかの人のレビューを読みたいけど、日本初演で開幕直前だから、全然ない……。

と、もろもろ不安に思いながらも、友人の
濱田めぐみさんが生きてるうちに生歌を聴くため足を運ぶのは価値のあることだよ」
の言葉に背中を押されて、チケットを取りました。





イメージつかないかと思うので、ここで簡単に、メインキャラクターとストーリーの説明をします。


ビクター:「生命を創造すること」にとり憑かれた科学者。
アンリ:ビクターの研究に協力する軍医。無実の罪で処刑される。
ジュリア:ビクターの従姉妹で婚約者。彼を愛しており、支えようとする。
ルンゲ:ビクターに仕える執事。ビクター坊ちゃんが大好き。
ステファン:ジュリアの父で、ビクターの叔父かつ養父。ジュネーブ市長。
エレン:ビクターの姉。誤解されやすい弟を、母のように愛情深く見守っている。

ジャック:闇の闘技場の主人。エヴァの尻に敷かれている。
怪物:アンリの遺体から作られた。身勝手に自分を生み出したビクターを恨み、復讐を誓う。
カトリーヌ:闇の闘技場で働く下女。怪物と心を通わせる。
イゴール:闇の闘技場の道化。
フェルナンド:金貸し。カトリーヌを利用し、闇の闘技場の乗っ取りを計画する。
エヴァ:闇の闘技場の非情な女主人。見世物として、怪物を闘技場で働かせる。


【1幕】
幼い頃の体験から「生命の創造」という"使命"に目覚めたビクターは、先行研究を発表した過去のあるアンリと出会って友情を育む。あるとき研究材料を求めた2人は殺人事件に巻き込まれ、アンリはビクターの身代わりとなって無実の罪で処刑される。ビクターはアンリを生き返らせようとその首を持ち帰り、命を生み出すことに成功するが、生まれたのはアンリの記憶をもたない怪物だった。怪物はルンゲを惨殺し、夜の闇に逃亡する。

【2幕】
3年後、ビクターはジュリアと結婚していた。怪物の影に怯える暮らしのなか、あるときステファンが行方不明となり、町中を探し回るビクターの前に怪物が現れる。怪物は創造主のビクターに、闇の闘技場でモノ同然に扱われた3年間の地獄のような体験を語り、ビクターへの復讐を誓う。一方、ステファンの遺体が見つかり、エレンは殺人を疑われて処刑される。ビクターはエレンを再生しようとするが、装置は怪物によって破壊されていた。その間にジュリアも殺され、絶望に打ちひしがれるビクターに、北極へ行くと告げて怪物は去る。ビクターは北極で怪物にとどめを刺し、自らも受けた傷で死ぬ。


※読んだことなくて知らなかったのですが、下敷きとなっているシェリーのゴシック小説「フランケンシュタイン」でも、怪物は北極に姿を消すんですね。予備知識がなかったので、すごく突飛に思えました。


PVを見ると少しイメージがしやすいかも。

『Frankenstein』PV【舞台映像Ver.】 - YouTube

全体的に緊迫感が溢れるお話でした。





ええと、前置きが長くなりましたが、感想はこれです。

もう本当に素晴らしかった!!俳優が!

なんといっても、粒ぞろいの俳優陣。
ウィキッド』や『アイーダ』のサントラでひたすら聞いた濱田さんの歌声を、生で聴ける幸せ。線の細い可憐なエレンと、下品なほど派手なエヴァの演じ分けは、まさに一粒で二度美味しい。

壮麻さんも、『李香蘭』やら東宝エリザベート』やらで聞き込んできたままの素敵なお声。ちょっとお茶目な役なのがかわいらしい。歌が少なく残念。

加えて、初めて見た中川さんのおそろしく歌のうまく、細やかな演技をされること。今年の読売演劇大賞で最優秀男優賞を受賞されたというのもただただ納得(ジャージーボーイズでの演技に対しての受賞ですが)。

小西さんは、歌はもう少しだったけれど、アンリと怪物の対比がよかったです。生まれたての怪物の動きは多分すごく研究されたんだろうと思いますが、気持ち悪いくらい、それらしかった。

音月さんも、2幕のカトリーヌの鬼気迫る演技がとてもはまっていました。ジュリアという役は、音月さんには可愛らしすぎた気もします。


ロイドウェバーを思わせるような難曲揃いのなか、歌いこなせるのは流石のメンバーで、ちょっと時間が経ちすぎて記憶があやふやだけどデュエットもよかった気がします。

一部、人によっては若干セリフが聞こえにくい気がしたけど、それは自分が四季耳だからだと思うことにします。

※四季耳:劇団四季の独特な発声方法(母音法)に耳が慣れすぎて、それ以外のセリフが聞き取りにくくなる状態。


ちなみに私が見たのは千秋楽直前の回だったのですが、幕間に声が大きいおばさまトリオが「今日はみんなすごく気合入ってるわね!!1週間でこんなに違うのね!!」と興奮しながら話していたので、良い回にあたったようです。


メインとなるテーマは、ビクターとアンリの友情と、ビクターと怪物の対峙。これが良くてね……………と言いたいところですが、実は2週間経ったら記憶が薄れてしまいました。大事なところ語れなくてごめんなさい。





さて「俳優が!」と限定したのには意図があって、これが本題なのですが、私は演出に納得がいきませんでした。

今回の目玉となる演出は、メインキャストが全員一人二役を演じる、という点だと思います。


※PVを見て、2幕からはみんな2役目で話が展開するのだと思い込んでいたので、それってどんな話なんだ??と謎でしたが、実際は、2役目というのが怪物の回想の場面に出てくる人たちなんですよね。1役目のビクターたちは2幕でも普通に出てきます。


アンリと怪物は実質同じ人物なので、そりゃあ一人二役も素直に納得。でも他が、必ずしも一人二役でなければならないようには見えなかった。


一人二役を取り入れるときは、どこかに共通性のある正反対の存在をもってくるのがセオリーというか、オーソドックスで効果の高いやり方だと私は思います。

プログラムで濱田さんが作品の一人二役について仰っていました。

演出の板垣さんが「人間の集団心理と、そこにいる個々の深層心理、エゴを包み隠さず描いた作品だ」とおっしゃって。確かにそうだなと思いますし、1幕と2幕で同じ俳優が別の役をやることによって、そうした人間社会の構図が立体的というより、絵画のように見えてきて、より伝わるんです。
中略
1幕と2幕が輪廻転生したパラレルワールドにも、一人の人間の半面にも思えますよね。誰にでもあるマイナスとプラスの面が、やじろべえが左右にゆれるかのように見えてくる作品。

演出効果を認めた上で、セオリーを守っているということですね。


これを念頭に置いてみると、今思えば、対比の構造が全くなかったわけではありません。


・命を生み出したいビクターと、怪物を玩具のようにぞんざいに扱うジャック。

・ビクターを愛し信じ続けるジュリアと、怪物と心を通わせるものの最後は裏切ってしまうカトリーヌ。

・ビクター坊ちゃんに付き従うルンゲと、ジャックに付き従うイゴール

・音月さんの 演じるジュリアを大切な娘として可愛がるステファンと、同じく音月さん演じるカトリーヌの密かな願いにつけこんで利用するフェルナンド。

・一歩下がって見守るエレンと、闘技場を支配するエヴァ


頭で考えれば気付けますが、観劇当時にはいまいち感じられなかった。
その理由を考えてみるに、


・ビクターは生命創造しようとしてるものの、ごく少数の身近な人以外の生き死に以外には無関心。他の命あるものを大切にしているようには見えなかった。

・ジュリアは1幕ではビクターを愛する理由づけが見えず、相手にされていないのに幼い頃の婚約をずっと引きずってるちょっと怖い女の人に見えた。カトリーヌとの対比よりもそちらの方が気になってしまった(だから2幕冒頭で結婚して幸せそうなビクターにも「???」だった)。

・ルンゲは1幕で亡くなってしまい、イゴールはただの闘技場の賑やかしの1人。

・ステファンは悪い人ではないけど良い人にも見えなかった。そもそもそんなに出てこない。

・エレンは……そうか、わかりやすく正反対でしたね。


ということだと思うんです。


とはいえ、濱田さんが指摘している以上、あのレベルの俳優が演じている以上、きっと私の感受性に問題があったんだなあ。反省。。




……と、思おうとした矢先、日程表で見つけました。

えっ、ビクターとジャック、別の人が演じる回があるの?一人二役に意味があるんじゃなかったの……。

これってつまり、一人二役に演出効果を認めていないということを、公式が発表しているということに見えないでしょうか。
極論ですが、人が足りなかったから一人二役にしたってことですか。
こういうの、がっかりしてしまいます。


関連して、俳優でチケットを買った私が言うのも何ですが、俳優で売ってる舞台なんだなあということをあらためて感じました。

それ自体を悪いと言いたいわけではないです。もちろんそれはあり。
たとえば、演劇作品としてじゃなく、衣装も舞台セットもあるエンターテイメントショーにお話が付いているものだと思えば、とっても豪華で楽しい(その割には、緩急がずっと急で緩が少なかったり、歌詞に違和感があったり、笑わせたいポイントがよくわからなかったりするんですけど)ってことです。
ただ、私は演劇の方が好きなので。


消化不良な点は二度目を見てみれば解消されるかもしれません。が、同じ演出なのであれば、わざわざチケットを買って2回目を見ることはないと思います。

でも本当に俳優と音楽は素晴らしかったから、今後レンタルCDが出たら借りたいです。


上げて下げてしまいましたが、感想は以上です。すっきり!





ちなみにこの後はしばらく観劇予定ありません。
次の記事は、先輩にお借りしている宝塚エリザベートBlu-ray(私の東宝エリザベートDVDと交換中)になるかなあ。

…と言いつつ、実は先週から仕事が突如繁忙期に突入していまして、舞台のことなんて考えている暇はないというか、ひたすら摩耗する毎日です。

いや、こういうときこそ舞台の力を借りるとき。ライオンキングのシンバよろしく「心配ないさ!」を胸に抱いてがんばります。

……心配しかない。